孤高の底辺。うんこ拭き(介護福祉士)おじさんの戯言ブログ💩:®️

“奴隷(介護職)”をクビになって、“社畜(葬祭屋)”になってまた介護職に復職したおっさんの随筆集✍️

開拓者の哲学

カメラテスト 済

マイクテスト 済

ライティング 済

 

本番5秒前...4.3.2.1..キュー

 

 

インタビュアー(以下:イ) 「こんばんわ。今夜は「転倒界のウサイン・ボルト」こと◯◯老人ホームの[削除済]さんにお越しいただきました。」

 

イ「こんばんわ」

 

削除済(以下:S) 「こんばんわ」

 

イ「さて、Sさんは施設内で多くの職員の見守り、巡視の眼があるにも関わらず二日間で3回も転倒事故を起こすという快挙をなしとげられましたね?」

 

S「はい。僕自身にとっても新記録を達成することが出来ました。」

 

イ「現在、日本の転倒界を最前線で牽引するSさんにトップアスリートとしての哲学、これからの転倒についてお話ししていたただこうと思います。」

 

S「よろしくお願いします」

 

イ「よろしくお願いします」

 

イ「前日の夕方に居室内で一回、翌日にまた居室内でひっくり返り病院に搬送される。戻って来たその日の夜の夜間帯にまた転倒。1回めの転倒のあとにベッドの周りにはセンサーマットが設置されましたがそれを押しのける。さらに職員からの再三のトイレ等の移動時にはナースコールを使用すること等の注意を頑なに拒絶し二日間で連続三回の転倒の偉業を成し遂げられました。こられの高いモチベーションは何処から湧いてくるのですか?」

 

S「まず大切なのは職員の話しなんて絶対に聞かない!という堅い決意が必要です。どんなにADLが低下していようと熱発していようと杖の使用、介助は拒否して自力で動きます。」

 

イ「なるほど。」

 

S「時間帯や曜日、職員の配置などを日頃からよく観察して巡視、赤外線センサー、センサーマットなどの障害をかい潜り、よりクリエイティブかつアバンギャルドに転倒すること、これが私の務めだと考えています。」

 

イ「あっ!だから今着ているパジャマも血だらけなんですね!」

 

S「はい。介護タクシーを降りてからスタジオに入るまでにもう二回転倒しました。まだまだ工夫できるところがあったと反省しています。」

 

イ「転倒に対するストイックなその姿勢。流石ですね」

 

S「恐れ入ります。付き添いの介護職員はもう事故報告書二枚の提出が確定しています。我々がこうして転倒することによって時間外の余計な業務の発生、病院への搬送や救急車の使用による、労働力や社会資源の浪費、施設の職員のモチベーションの低下や精神的負担の増大を成し遂げることが我々、転倒者(テントリスト)の務めだと思っています。」

 

イ「なるほど。転倒するのに最適な環境とはどういったときですか?」

 

S「いつだって転倒チャンスは転がっています。そういったチャンスを逃さないこと。常に転倒する為に最善を尽くす。それが開拓者(パイオニア)の心がけるべき姿勢ではないでしょうか?」

 

S「例えば土日祝日などの職員が比較的少ない曜日。モーニングケアやナイトケア時などの忙しい時間帯、人員配置の少ない夜間帯などを狙って転倒すれば職員らにより確実にダメージを与えることが出来ます。また糞尿や血液に対する抵抗がまだ強い新入職員が介助に当たっている時にはズボンとパンツを下ろして脱糞しながら、タンスの角などに頭を打ちつけて血を撒き散らすなどのテクニックも必要です。新入職員に自信を失わせ、離職に追い込むことによって職員をさらに手薄にし将来の転倒に繋げるといった努力も欠かせません。」

 

イ「ひとつひとつの行動に意味があるということですね。そこまでやられたら流石に職員も対策を立ててくると思うのですがその点は?」

 

S「転倒防止の柵や車いすの使用、「ちょっと待ってて」などの声掛けも当然、フィジカルロックやスピーチロックに当たり、我々利用者の人権の侵害であり、高齢者虐待防止法に定められている身体的虐待に当たると判断することが出来ます。つまり拒絶できます。」

 

イ「なるほど。ご家族は?」

 

S「親族は元々無関心、または何か起きてからの施設や職員に対しての損害賠償などの旨味があるため何も言って来ません。臭い物に蓋をして知らん顔が常です。」

 

イ「Sさんのご家族は、施設に入居させてから一度も顔を見せに来ていませんもんね。」

 

S「その通りです。そういった点も日々の介護抵抗や転倒へのモチベーションに昇華させることが出来ます」

 

イ「つまり職員に為すすべは無いと?」

 

S「そう捉えていただいても問題ありません。」

 

イ「ありがとうございました。本日は「転倒界のウサイン・ボルト」こと[削除済]さんにお話を伺いました!」

 

S「ありがとうございました。」

 

イ「次回は「放尿界のジャンヌ・ダルク」こと[特秘事項]さんにお越しいただきます」

 

 

エンドロールまで5.4.3.2.1....スタジオ暗転 場面転換 ◯◯中継地点に切り替え

 

 

 

fin.