泥人形の女が携えた、災厄の贈り物。
*「対象の直腸内に高エネルギー反応!ヤバイっ放出されますっ!」
*「まずいっ!パッド当ててっっ」
*「んあいいいいいいいっんひぃいいいいいいいいっ!!」
ぶりぶりブチュブチュぶりぶりブチュブチュドババババァっ
*「七重ある装甲を一撃で...これが最強の"拒絶タイプ(介護拒否型)"か...」
僕「いやぁぁあ。久々にあんな便失禁みた。背中の方までだだ漏れで肩の下あたりまでビッチャビチャ。全更衣+シーツ交換。便汚染した衣類も洗わないとね」
同僚「3,4日、出てなかったんだよね。ラキソベロンかプルゼニドか酸化マグネシウムかアローゼンかカマーかレシカルかぶち込んであったんだろーね」
同僚「ジェットストリーム大便アタックされた感じ?」
僕「どちらかというとアトミック大便バズーカ食らった感じ」
僕「そんでもってあっちとこっちも便失禁。後手後手やから昼食の準備が出来ていない」
同僚「だだでさえ人少ないけど土日はさらにね。もう冬休み始まってるらしいから、家族いる人たちはまとまった休みとる人も多いしね」
僕「清掃や、看護やらの人たちやね」
同僚「年末年始、お盆、GW、何それおいしいの?な俺たちには関係ないけどね」
僕「ですね。今日出てきてた若い娘(27歳)は、「友達は彼氏とデートしたりみんなでディズニーランド行ったりしてるのに私は何してるんだろ..」って呟いてたね」
同僚「まず27歳が若いかどうかから議論になるけどそれは置いといて、世間が休みの時期になるといろいろクルものはあるよね」
僕「あるね!」
同僚「なぜ俺たちはクリスマスに大便の話しばかりしているんだろう?」
僕「年末年始はただでさえ普段より人(職員)いないのにやらなきゃいけないことやイベントがたくさんなんだよね。」
同僚「雲の上の上層部様に、「僕たちこんなに一生懸命、ご利用者様に尽くしてますよ」アピールしないといけないから」
僕「殺伐さを作り笑いの下に押し隠してね....」
同僚「親族やらの訪問も増えるから注文やクレームも倍プッシュ」
僕「いつも不思議でしょうがないのだけれど、彼らはなんであそこまで横柄かつ尊大に振る舞えるのかな?」
同僚「そりゃあ、もちろん「お客様」だからだよ。部屋の暖房の温度上げろだの、床に埃が落ちてるから拾えだの、加湿器に水入れてこいだの、自分で指を動かせば済むことにわざわざナースコールで俺たち(介護)呼ぶからね」
僕「目の前に、エアコンのリモコンも水道の蛇口もあるのにね」
同僚「休みとってる他の職種(看護や事務やら)も、「私たちが普通に休みとるのは当たり前、お前ら介護は無いのが当たり前」みたいな感じだしね」
僕「勤めてるから何一つ文句言える筋合いはないんだけど、なんでここまで俺たちは扱いも待遇も酷いのかな?」
同僚「「だったら辞めるなり休みとるなりすれば?」と思われるのが当たり前だけど、そうするとあれこれ破綻するのが目に見えてるから出来ないというか....しないんだよね...」
僕「....もしかして逆に、俺たちって真面目すぎるんじゃないのかな?世間からは見下されて馬鹿にされまくってるけど、自分たちばっかり負担や世の中の割を食う必要ないんじゃないの?」
同僚「彼ら彼女らは、手の掛かる要介護や認知症老人たちを「知りません、わかりません、出来ません。」っつって俺らに押し付けていられるから安穏とクリスマスやお正月を過ごせてるわけじゃん?」
僕「もしも、全国に数十万から数百万人いる認知症や要介護老人たちが街に溢れ出たら、交通やインフラや警察や消防なんかの社会基盤は簡単に崩壊するよね。介護離職なんてレベルの損害じゃなくなる」
同僚「いまはまだ「施設」や「介護職」っていうストッパーがそれらを食い止めているけど後数年でそれを抑えきれなくなるのは目に見えているんだよね。介護職は、政府の甘い試算でも37万人?足りなくなるわけだし」
同僚「お国はこれ以上お金かけたくないから、「介護は病院や施設から地域へ!」って謳ってるしね。リアルバイオハザード状態はもう間近だねっ!」
僕「下らない例え話だけど、今までは必死に支えて持ち堪えさせていた「パンドラの匣」の蓋があと少しで開く。中に閉じ込められていた「厄災」たちが世界に飛び出していく」
同僚「匣の底に残るのは「希望」じゃなくて糞尿まみれの脱ぎ捨てられた衣類なのは間違いないだろーねwww」
fin.