孤高の底辺。うんこ拭き(介護福祉士)おじさんの戯言ブログ💩:®️

“奴隷(介護職)”をクビになって、“社畜(葬祭屋)”になってまた介護職に復職したおっさんの随筆集✍️

人が亡くなった後の“格差”について🌼

 うちの葬儀屋はとにかく地域で1番安いことを売りにしている。施工件数は割と多いらしいけれど、一つ一つの案件が格安なのと、そもそも"葬式"ですらなくて"火葬式"といって、本当にただ安置した後に火葬場に送られて荼毘にふされるだけというパターンもなかなか多い🔥。

 やっとコロナが下火になってきて、今まで禁止だった式場や火葬場での飲食🍱が解禁されたから、そこで弁当やら、精進払い?おとき?とかいうらしい『食事会』で売上げを伸ばすぞ‼️と躍起になっている。

 そんな格安のうちの葬儀プランの中でも、ちょっと特殊な奴があって◯◯◯園プランというある特定の福祉施設から依頼を受けて行う火葬式がある。その福祉施設は、本当にもっとも困窮していて、身寄りが無くて、行き場の無い生活保護の老人たちが暮らしている所謂、救貧院的なところだ👴👵。当然、葬式なんてあげるお金は無いから火葬するだけ。ご遺体の枕元に安置する花飾り🌼(枕花)も無ければ、坊さんの読経も無い。安置→納棺⚰→搬送🚐→火葬🔥というある意味、1番シンプルな流れになる👀。線香をあげて手を合わせてくれる人もいないし、死を悼む親族もいない。火葬した後のご遺骨もうちで預かって、会社の合同墓🪦に埋葬される。

 その、..言い方は悪いけれど、もっとも金にならず雑な扱いの"お別れの儀式"は1番下っ端の俺がやっている。この前も、安置室に入っていたそのプランの爺ちゃん👴を、社長の指示で式場に移動させて旅支度をやった。安置していても金にならないその爺様を移して、安置室を空けて、少しでも利益につながる遺体を受け入れる為の当然の手配だ。

 寒寒(さむざむ)とした広い式場にポツンと棺⚰が置かれて、申し訳程度にその前に渦巻線香🌀が置かれて細い煙を立ち昇らせている。

 『僕さん、その人の旅支度やっといてー』とぞんざいに言われ、俺がその爺様の旅立ちの準備をやった📿。..言うても決して雑に扱っているわけではない。金額相応のやり方でやっているだけだ。

 1番安い棺⚰の中に横たわる、誰とも知らないその爺様👴。この爺様だって当然俺のこと知らないから、人生の末期を赤の他人に見送られることになる。

そもそも見送ってくれるような親族がいたのか?

天涯孤独で生きてきたのか?

天涯孤独になる様な人生を送ってきたのか?

 独居老人が亡くなると、行政が血眼になって親族を探して『後始末』をさせるはずだからまあ天涯孤独の方だろう。

 比べるのも酷い話しだけれど、華々しく葬式を催し、4人も坊さんを呼んで、電照写真(葬儀の祭壇に飾る遺影的なの)の周りに、山ほどの花を飾って、何十人もの会葬者(弔問客)が来てくれて、家族に見送られながら送られていくひともいる。俺が愛し敬うあのお方の御言葉を借りれば"虹の橋を渡る🌈"というやつだ。

 だけども、この爺様は安置室も追い出され、薄暗くて寒くてだだっ広いところにポツンと置かれて、素人葬儀屋に旅支度をされている。見送る家族もいなければ飾られる花もない🌼💐。

これはちょっと寂し過ぎやしまいか?

 俺に出来ることなんてなんにもないけれど、せめてせめて、爺様が無事に"虹の橋🌈"を渡って、安楽で暖かいらしい"あっち側"にたどり着けるように祈ることにしようそうしよう🙏

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fin.