僕「あー...憂鬱」
同僚「どーしたの?いつもだけど今日はなおさら顔が死んでるよ?」
僕「んー?今年の半ばに妹の結婚式があるんさ」
同僚「おぉ!おめでとう!めっちゃいいことじゃん。確か去年の夏にも弟くんの結婚式あったよね?」
僕「そうそう。弟も妹も立て続けに結婚したんよ。弟はデキ婚やけどね」
同僚「あれ?長男の僕は..??あっ(察し)」
僕「そーだよ!独身だよ!!アラサーだけどね!結婚どころかカノメ?やらコイエ?やらにだって全く縁が無いさ」
同僚「なるほどね。あまりにも関わりがなさ過ぎて彼女(かのじょ)も、恋愛(れんあい)も漢字すら読めないんだね」
僕「そーだね。もちろん兄弟の結婚は嬉しいよ?妹も弟も、姪っ子ちゃんも大好きだしね」
僕「だけどあの苦痛を...あっちの親戚(弟の奥さん)のご両親やら親族やらが「お兄さんも頑張ってくださいね!お兄さんも頑張ってくださいねっっ」ってガンガンくるんよ」
同僚「まぁそうなるだろうね。」
僕「「ええ...はい。」以外になんて答えればいいのさ。「お仕事何されてるんですか?」って聞かれて「あっ..,介護福祉士です。老人ホームに勤めてます」って答えたときのあの表情....」
同僚「とても「パートです」とは言えないしね」
同僚「.....たしか、僕の家は離婚やら死滅やらで一族めっちゃ少ないんだよね?式が始まる前の両家の挨拶の時に、相手の家の出席者は2、30人いたけど、弟くんの方はお父さんと、兄の僕と、姉の妹ちゃんの三人だけだったんだよね?」
僕「その通りだけどよく知ってるね。その新婦側の親戚の反応ときたら...」
僕「「あっ...(察し)」だよ。そもそも介護やってる男で結婚してる人って現場レベルだと本当に見たことないんだけど(実話)」
同僚「??そりゃそうでしょ。男の場合、人格やら、性質やら、コミュ力やら、容姿やら、体格やら、社会的な立場やら、収入やらが所謂「モテるモテない」の要素なんだろうけど、俺たちってその中の何か一つでも持ってる?特に結婚となると当然「収入」のファクターは大きくなるけどそのすごく重要な部分が俺たちは著しく低い。」
僕「怒涛の勢いで自分たちの首絞めるのやめてくれない?」
同僚「なんだかんだ言っても結局、雌っって何万年も前から自分のところに、より多くの木の実や果物や獲った獲物を持ってきて、立派な巣を作れる雄と交尾するんだよ。それが出来ない雄は劣等種だし淘汰されて朽ちていくのが動物として当たり前なんさ。今はただ「木の実や果物や獲物」が、「紙幣と硬貨」に置き換わっただけなんだし」
僕「自分で自分にナイフ突き立てるのやめーや。僕らはまだジャングルだった頃から変わらない愛の形 探しているんじゃ無いの?」
同僚「世代だね!」
僕「うろ覚えだけど、生涯未婚率(男女ともに50才までに一度でも結婚したかどうかの比率)が男で23%、女性で14%って爆上がりなんだってさ。しないのかできないのか。そんでもって離婚率は約31%。3組に1組の夫婦は離婚している計算。」
同僚「目測だけどこの業界(介護職)って離婚歴あったり、シングルマザーな女性と独身の男がすごく多いよね」
僕「よく「介護は女性多いんだから相手困らないでしょ?」って言われるけど、介護職の女性は、介護職の男のことよく知ってるから絶っっっっ対にしないし選ばないよね。周りには医療職やらリハビリ系やらモテそうな職種の男たくさんいるしね。介護職(女)×他業種(男)は多いけど介護職(男)×( )だからね」
同僚「多少、卑屈やけど間違ってはいない」
同僚「そもそも人口的にみた男女の比率もオトコが余ってるわけだし、この国の全女性のうちの50%は50才以上なんだってさ。残りの50%の中で未婚で適齢期な人たちはどのくらい?数が少なければ少ないほど価値は上がるし値段も高くなるんだよ?彼女たちは有り余ってる選択肢(未婚の男)の中から自由に上澄みから選んでいけばいい。俺たち下層の雄がどれだけ望みないか誰でもわかるでしょ?」
僕「お前は算数大好きかよ...」
同僚「お前の女嫌いよりは好きかな?」
僕「嫌いというか苦手。少なくともフェミニストではないかな....例えばディズニーランド行くたびに骨折したり、お寿司食べるたびに食虫毒になる奴がいたらそいつはディズニーランドやお寿司のこと好きになると思う?」
同僚「回りくどいけど的確な例えだね。要は、関わって成功体験がないし嫌な思いしかしたことないから女性が苦手なんだよね。当然向こう側からじゃ相手にもされないし。フェミニストではないし、どちらかと言えばペシミストでレイシストだよね」
僕「あんまり難しい言葉使わないで?なにかもう今更、女様に媚びを売ったところで、得るものがなにも無い。無駄な消費とストレスと不快感と絶望感を味わうだけ。うん。自分でも負け犬の理屈なのはわかってるよ」
僕「仮定の話だけど、シャカリキに婚活して、無理くり結婚してそのあとどうするの?ずっと貧乏だよ?子供なんて生れようものならすごく辛い思いさせるよ?」
同僚「それは一理あるかも。俺らの給料って俺らの頑張りやら努力じゃなくて国からの税金やら保険金やらと、それらの「加算」の上積みだからね。元々の値をべらぼうに低く設定されてるんだから結局、俺ら(介護職)が低収入なのって「造られた貧困」なんじゃないかとたまに思わなくもない」
僕「数十年前みたいに男女どちら側からも結婚しなきゃ生き辛かった時代ではもうないしね。女性も普通に自分で稼げばいいし家事やらなんやらの負担だって著しく少なくなったしね」
同僚「進歩しているのか劣化しているのか微妙なところだよね」
僕「それでも介護職の男でも結婚してる人だって中にはいるし、一生懸命子育てしてる人たちだって大勢いる。「でも」と「だって」は、言い出したら際限ないし周りのせいにして誤魔化したって「酸っぱいブドウ」のキツネと変わらないからね」
同僚「無理やり捻り曲げて締めたね」
僕「戯言だからね」
fin.